ロシア鉄道

シベリア鉄道 ビロビジャン駅

ハバロフスクからシベリア鉄道を西へ約170キロ。ビロビジャン駅(Биробиджан-1)はユダヤ自治州の中心地に位置する沿線随一のターミナル。モスクワとウラジオストクを結ぶ長距離夜行列車「ロシア号」など、全ての旅客列車がしばしこの駅で停車する。

ホームに降り立つと、駅舎にはロシア語とイディッシュ語が併記されており、ビロビジャンがユダヤ自治州の州都であることを実感することだろう。駅舎は1912年に完成した当時の姿を現在まで保っているそうだ。

駅前広場の一角には馬車を曳いたユダヤ人最初の入植者の像(Первым еврейским переселенцам)がある。

基本的にビロビジャンはざっと歩いて数時間、長くても半日あれば十分に散策できるくらい小さな都市である。

なので、シベリア鉄道で到着したら、まずは駅待合室の手荷物預かり所(камера хранения)でスーツケースなどを預けるとよいだろう。料金は130ルーブル(利用当日のみ)。ここでは預かり所の部屋まで直接案内してくれた。


休憩室 (ビジネスラウンジ)

夜行列車が発着するようなロシア国鉄の主要駅にはкомната отдыхаと書かれた休憩室(Resting Room)が設けられており、仮眠室やシャワーなどが備わっている。

昼下がりにビロビジャン市内の散策を終えた後、夜行列車の出発まで約7時間も時間が余ってしまったので、当初の予定通り、駅舎内に併設されている休憩室を利用することにした。

ビロビジャン駅は深夜早朝に夜行列車が発着することから、待合室が24時間解放されているが、無料のベンチで何時間も過ごすのは体力的にちょっときついかもしれない。朝に訪れた手荷物預かり所のブースが休憩室の受付を兼ねている。

「今晩の夜行列車に乗るので、それまでの間、休憩所を利用したいです」

との旨を伝えると、ふたりの女性係員が列車の発車時刻を確認した上で、

「ビジネスラウンジがよろしいのでは?」

ということで、そちらを案内してくれた。ビジネスラウンジ(Бизнес-зал)の利用料金は500ルーブル(訪問時の日本円換算で約800円)ちょっと。休憩室へ通じる扉の前では人柄の良さそうな警察官がデスクで門番をしており、安心そのものである。

ビジネスラウンジは1階のホームに面しており、室内にはゆったりしたソファとテーブル、ちょっと映りの悪いテレビ、それにコンセントが備わる。必要最低限の設備だが(無料Wi-Fiはない)、貸し切り状態の上、窓からはシベリア鉄道を行き交う列車が見えるし、これだけあれば夜まで快適に過ごせることだろう。待合室の売店で軽食や飲み物を買い求めることもできる。

共用のトイレ兼バスルームも案内してくれたが、これが中々衝撃的。掃除はよく行き届いているものの、トイレには便座がないし、トイレットペーパーは品切れ状態である(あとで補充していたが)。

「バスタブではシャワーも使えますよ」

とは言うものの、これはちょっと躊躇われる雰囲気だ。

いや、でもこうでないと、個人的にはロシアに来たという感じがしない。

ビジネスラウンジに戻り、しばし休憩。ゆったりとしたソファはベッド代わりになり、しばし横になって仮眠を取る。

何度試しても窓の鉄格子にカメラのピントが合ってしまい上手く撮れず…

時間は過ぎて時計の針は午後7時を回ったところ。暮れなずむホームには夜行列車や近郊列車(エレクトリーチカ)、貨物列車が停車している。

この駅にはシベリア鉄道や支線からの貨物列車が大体15分から20分おきくらいにやってくる。往来する機関車を見ていると、電化区間下ながら、非電化区間の支線から乗り入れてきたであろうディーゼル機関車も少なくない。

午後9時ごろ、ブラゴヴェシチェンスク行きの夜行列車に乗るため、朝に預けた手荷物を受け取り、ビジネスラウンジを後にする。この時間になると待合室の売店は既に閉店。セキュリティの警察官はデスクでスマホをいじりながら穏やかに過ごしている。

薄暗く肌寒いホームには、先ほどハバロフスクからやってきた近郊列車が停車している。ここから夜行列車へ乗り継ぐ人が少なからずいるようだ。

折しも、モスクワ方面からディーゼル機関車牽引の貨物列車がやってきて、蒸気機関車のようにもくもくと煙を吐きながら通過していった。