極東・沿海地方

初めてのハバロフスク観光

アムール川河畔

市民が自慢する風景のひとつであるアムール川は全長約4368km、オホーツク海へ注ぐ世界で8番目に長い河川だ。川幅は2キロに及び、河畔のプロムナードからは、対岸のユダヤ自治州に延々と広がる茫漠とした大地を見渡すことができる。

ハバロフスクより上流域はロシアと中国の国境を成しており、中国の国旗を掲げた運搬船を見かけることもあるだろう。

川辺に沿ったプロムナードの東端からは、街のシンボルでもあるアムール川鉄橋(ハバロフスク橋)を往復するクルーズ船が出港している。


極東美術館

アムール河畔の高台にはいくつかの文化施設が点在している。ソ連時代初期の1931年に開館したこの美術館は、社会主義時代らしからぬ瀟洒な印象の建物だ。

国立ロシア美術館やトレチャコフ美術館、エルミタージュ美術館から寄贈された、極東最大の絵画コレクションを多数収蔵している。

美術鑑賞を終えたら、是非とも玄関口のそばにある土産物店に立ち寄ってみたい。ここに来て驚かされたのは、年配の男性店員ふたりが私を見るなり、どちらの方も流暢な日本語で話しかけてきたことだ。そのうち一人の方はスキー旅行でニセコや長野を訪れたことがあるそう。日本語を話す現地の人は稀であるが故、しばし話し込んだ。

ちなみにここでは近現代のアート作品をはじめ、ソ連時代のバッジや切手、絵葉書などを取り揃えている。


ハバロフスク地方グロデコフ郷土誌博物館

ロシア極東最初の博物館として1894年に開館。古い赤レンガ造りの本館と2008年新築のアムール館(こちらもレンガ造り)で構成されており、膨大な収蔵資料は40万点に及ぶ。展示内容は非常に奥が深く、古代から現代に至るまで、ハバロフスク州の歴史や文化、自然をほぼ全て網羅していると言っても過言ではない。

本館の展示は住む野生動物の標本コレクションから始まり、州内各地に暮らす先住民族の生活道具、帝政ロシア時代の開拓と内戦、ソ連時代のプロパガンダを含む資料、膨大な白黒写真、ソ連崩壊から現代ロシアの暮らしぶりまでの歴史が時系列に展示されている。

全部をゆっくり見ていくと、ざっと2時間はかかるだろう。

隣接するアムール館は、本館で購入したチケットを係員に見せて入場。こちらにはアムール川に生息する淡水魚の水槽、マンモスの骨格、バム鉄道建設の資料などを展示。木組みの家など、かつての極東における暮らしぶりを体験できる児童博物館(もちろん、大人も入場可)もある。


軍事史博物館

極東美術館の向かいに建つ赤レンガ造りの博物館。館内にはソ連時代の武器が豊富に展示されているというが、運営上の諸問題でここ数年は一般に公開されていない。

その代わり、屋外のバックヤードが有料で公開されており、軍用トラックや戦車、大砲、ロケット砲、ミグ17型戦闘機、将校専用客車などが所狭しと並べられている。入場料は格安なので、ミリタリーマニアでなくとも、一見の価値はあるだろう。


アムールの絶壁

郷土誌博物館の裏手に位置するアムール河畔の絶壁「ウチョース」は、ハバロフスクを代表する見どころのひとつ。展望台があり、アムール川や対岸のユダヤ自治州、中国に隣接するヘフツェルスキー自然保護区の山並みを一望できる。


ムラヴィヨフ・アムールスキー像

ロシアルーブルの紙幣を全種類、手にとったことがあるならば、アムールの絶壁に立つこの銅像に見覚えがあることだろう。彼は帝政ロシア時代の東シベリア総督で、ハバロフスクの建設をこの地に定めた人物で、ロシアの高額紙幣5000ルーブルにデザインされている。

中心街のメインストリート、ムラヴィエヴァ・アムールスカヴァ通りも彼の名前にちなんで名付けられたものだ。


栄光広場

グラド・ハバロフスキー大聖堂が建つコムソモール広場に戻って、中心街の散策を続けよう。極東国立研究図書館からトルゲネヴァ通りに沿って坂道を下り、再度登っていくと、右手に「永遠の火」が灯る栄光広場が見える。

ここには1929年以降、犠牲となったハバロフスク州出身の兵士3万人以上の名前が、黒い壁とモニュメント一面にずらりと刻まれている。

第二次世界大戦以降、この国が介入したアフガニスタンや北コーカサスをはじめとする地域紛争と、犠牲になった兵士の数を時系列で知ることができるという意味では、博物館の戦争に関する展示よりも生々しい。シリア紛争で犠牲になった4人の兵士の名前も新たに刻まれていた。


スパソ・プレオブラジェンスキー大聖堂

栄光広場と一体的に整備されたこの大聖堂の歴史は新しく、ハバロフスク州におけるロシア正教会の中心的存在として2004年に完成したもの。高さは95メートル、黄金に輝く5つの玉ねぎ型ドームを頂き、建物のそばからアムール川の水面がチラリと見える。


ハバロフスク駅または空港に戻る場合

栄光広場前の停留所(教会側)からハバロフスク駅行きの1c番バスが5分おきに出ている。8分おきに出る34番バスの利用も可能。

空港行きのミニバスは80番。栄光広場から道路を渡った反対側のバス停から20分おきに出る。

その他、栄光広場からレーニン通りを北へ1.2キロ歩き、トラムに乗ってハバロフスク駅に戻ることもできる。


追記

以上がハバロフスクにおける主な見どころで、他にも興味深い博物館や歴史的建物、教会、公園などが点在する。滞在時間が限られている場合は、上記のルートで散策し、アムール川のクルーズ船に乗れば、ハバロフスクの雰囲気を十分に堪能できよう。

なお、月曜は全ての公立博物館や美術館が休館となるので、この日を避けて旅程を立てたい。