極東・沿海地方

夜のハバロフスク散歩 (秋編)

春から秋にかけてハバロフスクを観光するなら、夜はアムール川のクルーズに乗船し、ライトアップされたヨーロッパ調の街並みを愛でるのはいかがだろう。2018年9月下旬、私は昼間の散策を終え、22時ちょうどに出発する夜行列車に乗車する前に、ひとりハバロフスクの夜を堪能することにした。

時刻は18時半近く。この季節でも曇り空はまだ十分に明るい。コムソモール広場の近くにあるカフェで軽い夕食を取り、教会広場前の高台からアムール川の雄大な景色をぼんやり眺めていると、どこからか賑やかなポップミュージックが聞こえてきた。

ふと、いつかどこかで聞いたことがあるような響きだなと思い、河畔に近づいていくと、どうにも音源は岸辺に係留しているクルーズ船のようである。何時に出航するのか分からないので、駆け足で坂道を下り、船着場へと急ぐ。


アムール川クルーズ

「モスクワ83号」と書かれた2階建てのクルーズ船(運賃400ルーブル)に乗り込むみ、甲板に出ると、先ほどまで空を覆っていた雲が抜け始めていた。正面に見える夕日が穏やかに流れる川面をオレンジ色に染め、船尾のロシア国旗が風にはためいている。

「アムール川の夕べ」と表現するのにふさわしい、詩的な光景だ。

2階船室では、すでに地元の人や韓国人の観光客グループがつまみ片手にビールを飲み始めており、酒の匂いが鼻をつく。

クルーズ船の写真を撮る間も無く、駆け足で船に乗り込んだものの、その後、船内で30分近く待たされた。

19時ちょうどに出航。程なくしてアムールの断崖が見えてくる。

レーニンスタジアムの前にある噴水広場。色鮮やかにライトアップされた光のショーは水面に映り、それが船内を流れるロシアンポップ・ミュージックのリズムと驚くほどよくマッチングしている。

ちなみに、このクルーズ船でよく流れていたのは、LOBODAというロシア人女性シンガーの曲だった。以下、公式YouTubeより。

陽は落ちて周囲は薄暗くなり、河畔の近代的なアパートには徐々に明かりが点り始める。このような高層アパートには、どのような人々が暮らしているのだろう。

クルーズ船は下流へと進んでおり、徐々にハバロフスク橋が近づいてきた。

この橋は全長が2500メートル以上もあり、1916年の初代橋梁が完成した当時は世界最長の橋であった。現在の鉄道道路併用橋は1998年に完成し、ロシアの高額紙幣5000ルーブルにも印刷されている街のシンボル的存在だ。

沈みかけた夕空に浮かぶ姿が美しい。橋の向こうはユダヤ自治州である。

船は橋の下をくぐり、数百メートルほど過ぎたところでぐるりと向きを変えて、上流に向かって折り返し始めた。アムール川を渡る夜風はとても冷たく、甲板での体感温度はすでに10度を切っている感じだ。暖かい1階船室に戻る。

1階船室は音楽に合わせてカラフルな照明がまたたくディスコになっている。とはいえ、今宵に踊っている人は誰もいない。

出航時から30分以上も絶え間なくハバロフスクの街について熱く語っていた同乗の男性MCは一仕事を終えて、ミニバーの一角で同乗の友人たちと談笑している。

夜の帳が下りたプロムナードやアパートの明かりなどを眺め、70分間のナイトクルーズを終えた。昼間の穏やかなクルーズ船に乗ったこともあるが、日没の頃に出港するナイトクルーズの方が断然印象に残る。

下船時刻は20時10分。

夜行列車の出発まで2時間を切り、良い時間つぶしになったが、今度は逆にあまりのんびりとできず、カフェなどに立ち寄る暇はなさそうだ。ここからは足早に中心街を歩いていこう。

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